【ミャンマー】雨季の感染症対策について

     

ミャンマーも本格的に雨季入りしました。
ミャンマー政府の矢継ぎ早な厳しい感染対策が功を奏し、新型コロナウイルスの国内感染は落ち着いていますが、雨季は様々な感染症の流行シーズンです。
雨季に入り、発熱の患者さんの相談が徐々に増えています。

現在のミャンマーでは、発熱・咳などの原因は99%以上新型コロナウイルスでは無いと思われますが、日本人には厳しい衛生環境である政府病院が新型コロナウイルス治療の指揮を執っているミャンマーにおいて発熱してしまった場合には「コロナウイルス疑いと診断され政府病院に通報されたらどうしよう・・・」という不安が常に付きまといます。
今日は、ワクチンを打てば予防できる「インフルエンザ」と「腸チフス」の予防接種についてお知らせいたします。

①インフルエンザ
原因は不明ですが、ミャンマーは1年置きにインフルエンザが流行している国です。昨年は爆発的な流行が見られなかったため、専門家の間では今シーズンの流行が予想されています。
インフルエンザは、予防接種後に抗体ができるまでに2週間かかりますので、流行前のワクチン接種を推奨しております。(できるだけ早めに接種しましょう!)
「打ったからインフルエンザにかからない」のではなく、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効とされています。ワクチン接種の考え方として「ワクチン接種を受けずにインフルエンザを発症した患者の75%はワクチン接種を受けていれば発症を免れていた」と言われています。

②腸チフス
腸チフスは食中毒の原因でもあるサルモネラの一種であるチフス菌による感染症であり、汚染された飲み水や食物などを介して感染する東南アジアなどの新興国では非常にありふれた病気です。
主な症状は発熱で、高熱が持続するのが特徴です。下痢がみられることもあります。典型例では、バラ疹(胸腹部に現れる淡紅色の発疹)、肝臓や脾臓の腫大、意識障害や徐脈(脈拍が遅い)などの症状が認められます。腸出血や腸穿孔をきたすこともあります。
衛生環境の厳しいミャンマーでは1年を通して罹患する可能性がありますが、特に雨季(6月~10月)に多くの感染者が発生します。
腸チフスのワクチンは、日本では2~3年に1度の接種を勧める医療機関が多いようですが、接種後1年を過ぎるとワクチンによる免疫が徐々に低下していくため、ミャンマーのような感染リスクの高い国では、1年毎に接種を行うのが一般的です。インフルエンザ同様、予防接種後に抗体ができるまでに2週間かかります。

万が一、インフルエンザや腸チフスに罹患してしまった場合、新型コロナウイルスと共通する症状が多いので、鑑別診断が必要となってきます。ミャンマーに残留されている方は雨季の発熱対策として是非ワクチン接種をご検討ください。

 

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