【ミャンマー】クーデター禍の医療状況について

     

クーデターによって国軍が権力を握ったミャンマーでは、業務を放棄することで国軍に圧力をかけるCivil Disobedience Movement(CDM:市民による不服従運動)が全国で拡大・長期化しています。
CDMは2月3日の政府系病院に勤務する医療従事者のボイコットをきっかけに様々な業務分野に拡大し、病院・銀行・大学・政府機関・物流など、多くの機関が機能停止しています。
CDMの参加者が一番多いと言われているのが医療業界です。CDMがミャンマー国内の医療状況に与えている影響をMyat Mon 東京クリニックのミント先生に教えてもらいました。
※2月25日時点での情報です。


<回答者>Dr.U Myint Oo(Dr.ミント)
Myat Mon 東京クリニック院長/内科医/東京医科歯科大学医学部大学院博士課程卒業

Q1.医師や看護師がボイコットを行っていると聞いていますが、病院はどのような状況ですか?
A1.政府系病院の医師・看護師達がCDMにより出勤を拒否しており、ほとんどの政府系病院の外来は一時閉鎖となっています。ヤンゴン総合病院などの大規模病院の緊急外来は診療を行っていますが、新規患者の入院は受入れを停止しています。現在の状況で入院治療が必要となった場合、普段政府系病院を利用していた国民は、治療費が比較的安い私立病院に入院するか、お金が払えない貧困層は治療を諦めるしかありません。このような状況の中、政府系病院に通院していた患者さんを無料・低価格で診療するローカルクリニックも増えています。

Q2.政府系病院勤務者がボイコットに参加しているのですね。私立病院の状況はどうですか?
A2.私立病院に関してはクーデターの大きな影響は無く、通常診療を行っています。

Q3.国内のコロナの感染状況はどうですか?
A3.感染者数が極端に少なくなっていますが、CDMにより検査がほとんど行われていないので、はっきりとした感染者数が分かりません。現在至る所で行われているデモは「人が密集している」「大声を出す」など、コロナに感染するリスクが高い行為なので、今後の流行が心配されます。

Q4.コロナワクチンの接種状況はどうなっていますか?
A4.1月下旬より政府系病院に勤務している医療従事者が1回目のワクチン接種を開始しましたが、その後クーデターが起こってしまったため、2回目の接種がどうなっているのかは不明です。今後の接種スケジュールに関しても、情報がありません。

Q5.現在、新型コロナウイルスに罹患した患者はどこの病院に入院していますか?
A5.政府系病院は、CDMにより機能しておらず、新規患者の受入れを停止しています。治療センターは、2月8日時点でヤンゴン市内の患者が減少傾向にあったため、今後はAyeyarwaddyセンター@トゥワナとYomaセンター@ダゴンセイカンの2ヶ所のみで受入れを継続する予定でした。しかし、CDMの影響を受けて、2月22日時点で全ての治療センターが一時閉鎖となっています。唯一の私立指定病院であるパンライン病院は通常通り受入れを行っています。軍系病院も受入れを継続していますが、軍系病院を利用できるのは軍関係者(軍人やその家族など)のみです。

Q6.万が一、夜間に体調が悪くなった場合はどうしたらいいでしょうか?
A6.夜間帯の担当は夜間外出禁止令前に出勤しているので、私立病院の夜間緊急外来は通常通り24時間対応しています。ただし、専門医の受診が必要な場合は、次の日に再診となります。そのため、専門医による緊急手術は難しいと思ってください。日頃からの健康管理を徹底し、「体調がおかしい」と感じたら出来るだけ早めに日中に病院に行くようにしてください。夜間の病院受診時の移動に関してですが、方法が2つあります。①居住区の警察に電話をして「緊急で病院に行く」という旨を伝えて外出許可を取る、②ボランティア救急車を要請すれば警察の許可無しでも受診が可能です。
☆Community Fever Clinic -Yangon Network
電話番号09456855191(居住区のボランティア救急車に繋げてくれます。)

Q7.「コロナの感染が心配なので、デモに参加したミャンマー人スタッフは在宅ワークにした方が良いですか?」という問い合わせが増えています。ご助言をお願いします。
A7.感染予防の観点から述べると、デモ参加後から14日間は在宅ワークをしてもらうのが望ましいです。その対応が難しい場合は、出勤72時間以内に抗原検査を行って感染の有無を確認する方法を提案します。ご自身やスタッフの健康管理、職場のコロナ感染対策に関する不安・疑問があれば都度相談してください。

Q8.クーデター禍の在留邦人の健康管理についてアドバイスをお願いします。
A8.持病がある方は、薬の内服を欠かさず、健康管理をしっかり行ってください。薬の流通が少し不安定になっているので、受診を希望する数日前に連絡をお願いします。また、新型コロナウイルスの流行に軍事クーデターが重なり、在留邦人の皆様は常に過剰なストレスに晒されている環境にあります。「夜眠れない」「気分が落ち着かない」といった症状も当院で診療が可能ですので、お気軽にご相談ください。

Myat Mon 東京クリニック
No.990 Groundfloor Thu Mingalar Road South Okkalapa Yangon Myanmar
TEL:09-9568-36131 E-mail: mm.tokyoclinic@gmail.com
HP: http//www.mmclinic.tokyo
*9:00~13:00の午前診療で毎日診療を行っております。(祝日は休診となる場合有り)*完全予約制、最終受付時間12:30
*産婦人科、整形外科、小児科等の専門医診療可
 ※専門医は外部から契約医を呼んでおりますので、受診を希望する場合は早めにご連絡ください。
*CDMにより銀行取引ができないためクレジットカード払いを一時停止中です。
 現金患者様には大変ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。

関連記事

  1. 【カンボジア】プノンペンの病院情報:インターケアメディカルセ…

  2. 病院紹介

    フィリピン|ジャパニーズヘルプデスククリニック IN MAN…

  3. 【タイ】入国後の14日間隔離施設内の診察

  4. 医療情報

    【ミャンマー】クーデター禍のミャンマー医療状況

  5. 【ミャンマー】医療情報

  6. 病院紹介

    フィリピン|マカティメディカルセンターの情報アップしました!…

スタッフブログバナー
PAGE TOP