【ミャンマー】ミャンマー国内の医療状況

     

「万が一、ミャンマーで新型コロナウイルスに感染してしまった場合はどんな病院で治療を受けるの?」
「発熱や咳などの体調不良の際に私立病院で診察を受けることができるの?」

といった問い合わせが増えております。
本日は、新型コロナウイルスに関するミャンマーの医療状況について詳しく説明いたします。

=======================================

質問1:ミャンマーで外国人が新型コロナウイルスに感染してしまった場合、どの病院で治療を受けるようになりますか?

回答1:国籍は関係なく、ミャンマー政府指定病院にて隔離・治療が行われます。ミャンマーでは私立医療機関に新型コロナウイルス患者の治療権限は与えられておらず、例外無く必ず政府指定病院での治療となります。ヤンゴン地区は、①Wai Bar Gi(ウェイバジ)感染症専門病院、②South Okkalapa(サウスオカラッパ)病院、③Phaung Gyi (ポウンジー)病院が政府指定病院です。

①Wai Bar Gi感染症専門病院(病床数90)

元々は、結核やAIDSなどの重度の感染症患者を受け入れている感染症専門の病院です。

②South Okkalapa Hospital(病床数70)

元々は婦人科と小児科の専門病院ですが、Wai Bar Gi 感染症専門病院だけでは病床数が足りないため、敷地内にある新病棟を利用して新型コロナウイルス政府指定病院となりました

③Phaung Gyi Hospital(病床数240で4/21に仮オープン、最終的には2000床の予定)

公務員用の研修センターを改修して新設された施設です。ヤンゴンから車で2時間程度かかります。上記2病院が満床となった際に本院に感染者を搬送する予定でしたが、その後国内の感染状況が落ち着いたため、現在は上記2病院にて隔離・治療を行いPCR再検査で陰性となった患者の転院先病院として機能しています。

質問2:発熱や咳などの症状が出た場合、私立医療機関で診察してもらうことはできますか?

回答2:ほとんどの私立医療機関は、最初に電話・オンラインまたは特設エリアでの問診(スクリーニング)を行い、医療機関と担当医が受入れ判断を行っています。受入れ可と判断された場合は、当該医療機関にて受診いただけます。全ての私立医療機関から受入れ不可と判断された場合は、政府系病院での診察となります(質問3参照)。

当地における新型コロナウイルスの市中感染は現状では落ち着いております。一方で、医療機関に対する政府への通報義務は未だ解除されておりません。そのため、問診(スクリーニング)で発熱や咳の症状が確認され、医師が新型コロナウイルス感染を強く疑う場合は政府へ報告される可能性があります。ローカル医療機関への受診やウォークイン(事前に医療機関に連絡・予約をせずに直接受診する)を行った場合に、政府へ通報される傾向です。政府系病院での不要な隔離・入院を避けるため、ご自身で英語・ミャンマー語での受診が問題無く行える方でも、まずは日系医療機関や日系医療アシスタンス会社に相談をされることを強く推奨いたします。また、体調不良のご相談時には、ご自身で把握している体調の変化をできる限り正確にお伝えいただき、事実と異なる症状・経過のご申告は絶対になさらないようにお願い申し上げます。

質問3:どのような場合に政府系病院を受診することになりますか?また、政府系病院とはどこですか?

回答3:以下の2パターンの場合、政府系病院で診察を受けることとなります。

パターン1.全ての私立医療機関から診察受入れを拒否された場合。
保健省が発表しているガイドラインでは居住区にある政府系病院を受診することになっていますが、外国人診療に慣れていないためか診察を拒否されるケースが発生しています。その場合は、ヤンゴン総合病院への受診を指示されます。ヤンゴン総合病院では、発熱や咳などの症状のある患者は即時入院・隔離された上で、PCR 検査が行われます。PCR 検査の結果が、陰性でかつ体調が落ち着いていれば退院できますが、その後最低 14 日間の自宅隔離を要請されます。陽性の場合は、新型コロナウイルス政府指定病院(質問1参照)へ搬送されます。
パターン2. 私立医療機関での問診・受診において、当該医療機関が政府へ通報した場合。
私立医療機関担当医が新型コロナウイルス感染疑い患者だと診断した場合、まず政府チームに報告をいたします。報告後、政府チームの判断により隔離が決定した場合は、政府救急車によって各医療機関から政府系病院へ搬送・隔離となります。自宅に一度戻って入院準備をすることはできません。外国人は、上記同様、ヤンゴン総合病院への搬送が最も高確率です。政府系病院への入院後は、上記と同様の流れとなります。

 

ヤンゴン総合病院(Yangon General Hospital)

2000 床の病床を保有するミャンマー最大の病院であり、重症の交通事故や身元不明外国人の急病時にまず搬送される病院です。PCR 検査の結果が出るまでは隔離室に入院、陰性の場合は大広間の病室に移動し、退院まで過ごすことになります。

 ミャンマーは、国内の新型コロナウイルス感染は落ち着いており、救援便での海外帰りのミャンマー人から数名ずつの感染者が確認されている状況です。現状では、新型コロナウイルス治療を取り仕切っている政府系病院が医療崩壊するという可能性はかなり低いと思われます。
 また、「病院で新型コロナウイルスに感染してしまうかもしれない」「感染疑い者として政府に通報されるのが怖い」等の理由で、体調不良時に病院受診をためらう方が少なくないと思いますが、大変危険な行為です。体調がおかしいと感じたら、信頼できる医療機関にすぐ連絡をして、早めに受診するようにしてください。

ジャパニーズヘルプデスクミャンマー
Manager(看護師・保健師)/ 多木(おおぎ)

関連記事

  1. 【カンボジア】チクングニア熱の感染拡大に要注意!

  2. 【インドネシア】病床数が逼迫、コロナ入院事例、PCR検査の待…

  3. 【ミャンマー】医療情報

  4. 【インドネシア】海外在留邦人はいつワクチン接種できるのか?

  5. 医療情報

    医療情報|デング熱について

  6. 【ミャンマー】医療情報5月号

スタッフブログバナー
PAGE TOP