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【医療情報】狂犬病について

狂犬病とは

狂犬病ウイルスを保有する哺乳類から感染して起こる、人獣共通感染症です。
狂犬病ウイルスは、ラブドウイルス科のリッサウイルスに属しています。狂犬病ウイルスとその関連ウイルスはリッサウイルスと称されており、狂犬病以外をリッサウイルス感染症と呼んでいます。リッサウイルスは7種の遺伝型に分類され、狂犬病ウイルスは遺伝子型1型になります。狂犬病とリッサウイルス感染症ではほぼ同じ症状が見られるため、症状からどちらに感染したか鑑別するのは困難です。どちらも発症するとほぼ100%死亡します。
日本、英国、スカンジナビア半島の国々、南極など一部の地域を除いた全世界に分布しており、インドだけでも2万人、年間の合計で約5万5千人の死者を出しています。

感染経路

ウイルスを持った哺乳類に咬まれたり引っ掻かれたりして傷ができると、そこから唾液に含まれたウイルスが体内に侵入し感染します。ヒトからヒトに感染することはありません。pet_kamu_dog

症状

発症までの潜伏期間は一般的に1~3か月程度ですが、咬まれたり引っ掻かれたりした部位によって異なります。4日間や19年間という過去のデータもありますが、93%以上は1年以内に発症しています。

前駆期
・感冒様症状(発熱・頭痛・体のだるさ・食欲不振・吐気・咽頭痛・空咳等)
・咬傷部位の痛みやかゆみ、知覚異常等

急性神経症状期
・運動過多、興奮、不安感、錯乱、幻覚、攻撃性、狂水発作等

昏睡期
・昏睡状態から呼吸停止で死亡

治療

発病後の有効な治療法はありません。
狂犬病発生地域で動物に咬まれたり引っ掻かれたりしたら、石鹸を使い傷口を20分間程流水でよく洗い、すぐに医療機関を受診します。医療機関では、狂犬病ウイルスの殺菌、咬傷部位の洗浄・治療(破傷風ワクチンの接種・抗生剤の投与など)、狂犬病ワクチンや必要があれば抗狂犬病免疫グロブリンの投与が行われます(24時間以内の接種が望ましい)。

・軽く咬まれた、出血のない傷ができた場合⇒ワクチンの接種、咬傷部位の治療
・深く咬まれた、出血を伴う傷ができた、傷や粘膜(口・目・鼻)をなめられた、コウモリと接触した場合⇒ワクチンの接種、狂犬病免疫グロブリンの投与、咬傷部位の治療

狂犬病ワクチンの接種スケジュール
・予防接種を受けていなかった場合(①または②)
① 接種開始日を0日として3,7,14,28日の計5回接種
② 接種開始日の0日に左右の肩にそれぞれ1回ずつ接種(計2回)、その後7,21日に1回ずつの計4回接種  *抗狂犬病免疫グロブリンを同時に接種しない時に特に効果的

・予防接種を受けていた場合
接種開始日を0日として次は3日の計2回接種

※抗狂犬病免疫グロブリン(RIG)
咬傷局所と狂犬病ワクチンとは離れた部位(肩)などに接種。できるだけ早期の接種が望ましいが、狂犬病ワクチン接種後7日目までなら接種可能。(狂犬病の予防接種を事前に受けていた場合は不要)

経過・予後

発症した場合、潜伏期→前駆期→急性神経症状期→昏睡期を経て、ほぼ100%死亡します。
適切に暴露後の狂犬病ワクチンと抗狂犬病ガンマグロブリンを接種した場合、発症することはありません。

予防方法

狂犬病は発症後の有効な治療法はないため、感染防止、暴露前予防接種、暴露後は早期の発症予防が必要となります。
ウイルスを保有する動物と接触を避けることが一番の予防方法です。イヌ・ネコ・ウシ・ウマ・コウモリ・キツネ・オオカミ・ジャッカル・アライグマ・スカンク・マングース・タヌキなどからの感染が報告されています。むやみに動物に近づかないようにしましょう。
また、狂犬病の発生地域に滞在す場合は、渡航前に暴露前の狂犬病ワクチン接種を行うことが大切です。

・暴露前予防接種スケジュール
接種開始日を0日として7,28日の計3回接種、免疫の持続時間は約2年
*3回目の接種は1週間前倒しすることが可能(21日に3回目を接種)dog_boston_terrier

注意事項

・抗狂犬病免疫グロブリン(RIG)について
RIGにはヒト抗狂犬病免疫グロブリン(HRIG)と価格の安いウマ抗狂犬病免疫グロブリン(ERIG)がありますが、日本ではどちらも輸入、製造をしていないため、入手は非常に困難です。また、RIGは世界的に供給不足であり、狂犬病発生国の大都市でも入手が困難な場合があります。そのため暴露前予防接種は非常に重要です。
*近年インドでは50万本弱のERIGを生産しており国内の必要量を満たしていると政府は発表している

・狂犬病ワクチンの種類について
狂犬病ワクチンには、組織培養ワクチンと感染動物脳由来ワクチン があります。WHOは安全でより効果的な組織培養ワクチンの接種を推奨しており、日本を含む先進国や、ほとんどの開発途上国の大都市で入手することができます。一部のアジア・アフリカ・南米の国では感染動物脳由来ワクチン(Semple rabies vaccine, Fuenzalida rabies vaccine)を使用していることがあります。このワクチンは、予防効果が低いことや、重篤な副反応を引き起こす可能性があることから使用を避けてください。

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